AIの次の有力分野はサイバーセキュリティー?NVIDIAの発言とCrowdStrikeを整理

企業分析

AI市場ではこれまで、半導体やデータセンター、生成AIなどが大きなテーマとなってきました。

その中で、新たに注目されている分野の一つが「サイバーセキュリティー」です。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは2026年9月、ゴールドマン・サックスのテクノロジーカンファレンスに登壇し、サイバーセキュリティーがAIの次の主要な応用分野になる可能性が高いとの見方を示したと報じられました。

今回は、この発言の背景を整理するとともに、NVIDIAとの協業を進めている米国のサイバーセキュリティー企業CrowdStrike(クラウドストライク)について、公開情報をもとに確認します。

※本記事の情報は2026年9月12日時点の公開情報をもとにしています。

なぜAIとサイバーセキュリティーが関係するのか

生成AIやAIエージェントの進歩によって、ソフトウェア開発の自動化が進んでいます。

一方で、AI技術は防御側だけが利用するものではありません。

攻撃側でも、脆弱性の探索やサイバー攻撃の効率化などにAIが利用される可能性があります。

そのため、防御側でも、

・異常の検知
・脅威の分析
・攻撃経路の把握
・セキュリティー対応の高速化

などにAIを活用する重要性が増していると考えられます。

NVIDIA自身も、AIによって攻撃側の能力が高まる中、防御側にもより高速な対応が必要になるとの方向性を示しています。

つまりAIの普及は、新しいサービスを生み出すだけではなく、それらを安全に運用するためのセキュリティー需要にも影響を与える可能性があります。

NVIDIAとCrowdStrikeはすでに協業

今回の話で注目したいのは、NVIDIAとCrowdStrikeが実際にAIセキュリティー分野で協業を進めている点です。

CrowdStrikeは2026年9月1日、NVIDIAとの協力によって開発したセキュリティー向けAIモデル群「CrowdStrike SafeMind」を発表しました。

SafeMindでは、NVIDIAのNemotronオープンモデルを活用しています。

CrowdStrikeの公式発表によると、

・攻撃経路を探索する攻撃側モデル
・その攻撃経路を防御するモデル

を同一の仕組みの中で動作させ、継続的にセキュリティー能力を改善していく構成となっています。

SafeMindはCrowdStrikeの「Falcon」プラットフォーム上で動作する予定です。

ただし、新しい技術やサービスが発表されたことと、それが将来的に大きな収益へつながることは別の話です。

今後、実際の顧客利用や事業への貢献を確認する必要があります。

CrowdStrikeとはどんな企業?

CrowdStrikeは米国のサイバーセキュリティー企業で、NASDAQに「CRWD」のティッカーで上場しています。

中心となるサービスは「Falcon」プラットフォームです。

企業の端末やクラウド環境などを対象に、

・エンドポイントセキュリティー
・クラウドセキュリティー
・ID保護
・脅威インテリジェンス
・セキュリティー運用

など複数の機能を提供しています。

CrowdStrikeの事業を確認するうえで重要な指標の一つがARR(年間経常収益)です。

継続契約を中心としたサービスでは、現在どの程度の年間収益が継続的に積み上がっているかを見る材料として利用されます。

直近決算を確認

CrowdStrikeが2026年8月26日に発表した2027年度第2四半期決算では、以下の結果となりました。

売上高
約14.71億ドル
前年同期比26%増

サブスクリプション売上高
約14.00億ドル
前年同期比27%増

ARR
約58.4億ドル
前年同期比25%増

純増ARR
約3.33億ドル
前年同期比51%増

営業キャッシュフロー
約5.30億ドル

フリーキャッシュフロー
約3.77億ドル

売上高とARRはいずれも前年同期から増加しています。

特に純増ARRが前年同期比51%増となった点は、直近の事業動向を確認するうえで一つの材料になります。

ただし、1四半期の数値だけで長期的な成長を判断することはできません。

今後もARRの伸びや収益性、キャッシュフローなどを継続して確認する必要があります。

AIエージェントが新しいセキュリティー課題に

AIの利用方法そのものも変わり始めています。

従来の生成AIは、人間から質問を受けて回答する利用方法が中心でした。

一方、AIエージェントでは、AI自身が企業システムへアクセスし、一定の作業を自動的に実行するケースが想定されています。

そのため企業側では、

「どのAIがアクセスしているのか」

「どの情報へアクセスできるのか」

「何を実行したのか」

などを把握・管理する必要性が高まる可能性があります。

CrowdStrikeも2026年9月、AIエージェントの実行時保護を目的とする「Falcon Guardian」を発表しています。

AI利用の拡大によって、従来とは異なるセキュリティー需要が生まれる可能性があることは、今後確認しておきたいポイントです。

今後確認したいポイント

CrowdStrikeを見るうえでは、AI関連の話題だけではなく、実際の事業数字を確認することが重要です。

① ARRの成長

継続契約による年間収益が今後も増加していくか。

CrowdStrikeの事業動向を見るうえで重要な指標の一つです。

② AI関連製品の利用拡大

SafeMindやFalcon Guardianなど、新しく発表されたAI関連技術が実際にどの程度顧客へ利用されるのか。

発表そのものではなく、将来的な事業への貢献を確認する必要があります。

③ NVIDIAとの協業

CrowdStrikeはNVIDIA Nemotronを活用してSafeMindを開発しています。

今後も両社の技術連携が拡大するかは注目点の一つです。

④ 収益性とキャッシュフロー

売上高だけではなく、

・営業利益
・フリーキャッシュフロー
・利益率

なども確認する必要があります。

成長率と収益性の両方を見ることが重要です。

注意したいリスク

AIセキュリティーへの期待だけで企業を評価するのは適切ではありません。

CrowdStrikeには複数のリスクがあります。

まず、サイバーセキュリティー市場は競争が激しい分野です。

MicrosoftやPalo Alto Networksをはじめ、多くの企業がセキュリティーサービスを提供しています。

そのため、

「AIセキュリティー市場が拡大すること」

と

「特定企業の業績が必ず伸びること」

は分けて考える必要があります。

また、成長企業の株価には将来への期待が織り込まれる場合があります。

業績が成長していたとしても、市場参加者の期待を下回れば株価が下落する可能性があります。

さらにサイバーセキュリティー企業では、サービス障害や製品上の問題、セキュリティー事故などが顧客や企業評価へ影響する可能性があります。

技術トレンドだけではなく、業績や競争環境なども含めて確認する必要があります。

まとめ

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、サイバーセキュリティーをAIの次の主要な応用分野になり得るとの見方を示したことで、「AI×サイバーセキュリティー」という分野への注目が高まっています。

実際、NVIDIAとCrowdStrikeはSafeMindの開発などを通じて協業を進めています。

CrowdStrikeの直近決算では、

・売上高26%増
・ARR25%増
・純増ARR51%増

と前年同期から増加しました。

一方、新しく発表されたAI関連技術が将来的にどの程度事業へ貢献するかは、現時点では確定していません。

AI市場を見る際には、半導体やデータセンターだけではなく、それらを安全に利用するためのサイバーセキュリティーも一つの関連分野として確認しておく価値がありそうです。

今後も決算やサービスの利用状況を確認しながら、AIとサイバーセキュリティー市場の変化を追っていきたいと思います。

参考資料

・NVIDIA「NVIDIA Announces Upcoming Event for Financial Community」2026年8月27日
・NVIDIA「NVIDIA and CrowdStrike Strengthen Agentic Cybersecurity Frontier」2026年9月1日
・CrowdStrike「CrowdStrike Launches Frontier Models for Cybersecurity, Created with NVIDIA」2026年9月1日
・CrowdStrike「CrowdStrike Unveils Falcon Guardian to Secure AI Agents Where They Execute」2026年9月1日
・CrowdStrike「Second Quarter Fiscal Year 2027 Financial Results」2026年8月26日
・CrowdStrike Holdings, Inc. Form 10-Q(2026年7月31日終了四半期)

※本記事は、企業が公表した資料や報道などの公開情報をもとに、企業・業界動向について個人的に整理したものです。

※特定の金融商品について、購入・売却その他の投資行動を推奨または勧誘することを目的としたものではありません。また、個別の投資判断に関する助言を提供するものではありません。

※記事内に記載した将来に関する内容は、公開情報をもとにした見方や可能性を整理したものであり、将来の業績、企業価値、株価等を保証するものではありません。

※掲載情報の正確性には配慮していますが、その完全性・正確性を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身で最新の企業開示や各種情報をご確認のうえ行ってください。

※本記事は2026年9月12日時点の情報に基づいています。

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