決算を見るとき、
「売上高が増えた」
「利益が過去最高だった」
という数字だけを見ていないでしょうか
僕も株式投資を始めた頃は、前年より売上や利益が増えていれば「良い決算」と考えていました
しかし企業分析を続けていくと、決算後の株価反応を考えるうえでは、実績だけではなく「事前にどこまで期待されていたのか」を見ることが重要だと分かってきました
そこで今回は、決算を見るときによく登場する
- 会社予想
- 市場コンセンサス
- 決算実績
この3つの違いと、僕がどのように比較しているのかを初心者目線で整理します
会社予想とは?
会社予想とは、企業自身が公表する今後の業績見通しです
「業績予想」や、米国企業などでは「ガイダンス」と呼ばれることもあります
たとえば企業が、
- 売上高:1,000億円
- 営業利益:100億円
- 純利益:70億円
と今期の予想を発表していれば、これが会社側から示された業績見通しになります
日本企業では決算短信などで通期の業績予想を公表しているケースがありますが、すべての企業が同じ形式で予想を開示しているわけではありません
そのため、まずは企業の決算短信や決算説明資料などのIR資料を確認するようにしています
市場コンセンサスとは?
一方の市場コンセンサスは、証券会社や調査会社などのアナリストによる業績予想を集計したものです
簡単に言えば、
「市場ではこのくらいの業績になると予想されている」
という期待値の目安です
たとえば、
会社予想
営業利益:100億円
市場コンセンサス
営業利益:110億円
だったとします
この場合、会社は100億円を予想していますが、市場ではそれより高い110億円程度まで期待されていることになります
ここが決算を見るうえで非常に重要だと考えています
なお、コンセンサスの数値は集計する情報会社や対象となるアナリスト、集計時点などによって異なる場合があります
確認するときは、どの時点・どの情報源のコンセンサスなのかも意識したいところです
「会社予想を上回った=好材料」とは限らない
たとえば実際の営業利益が105億円だったとします
会社予想:100億円
市場コンセンサス:110億円
実績:105億円
会社予想だけと比較すると、
「予想を5億円上回った良い決算」
に見えます
しかし市場コンセンサスと比較すると、
「市場が期待していた110億円には届かなかった」
とも考えられます
つまり、
会社予想に勝ったかどうかと、市場の期待に勝ったかどうかは別の話
ということです
決算を見るときに僕が特に意識しているポイントです
好決算でも株価が下がる理由にもつながる
前回の記事では「好決算なのに株価が下がる理由」を取り上げました
その理由のひとつが、この市場の期待値とのズレです
業績が前年より大きく伸びていたとしても、市場がそれ以上の成長を事前に期待していれば、決算発表後に売られる可能性があります
逆に、一見するとそれほど強くない決算でも、市場が想定していた水準を上回れば、ポジティブに評価されることがあります
もちろん株価は決算だけで決まるわけではありません
金利や景気、為替などのマクロ環境や、すでに期待が株価に織り込まれていたかなど、複数の要因が影響します
そのため、
「コンセンサスを上回ったから株価も必ず上がる」
とは考えないようにしています
僕が決算を見るときの5つの確認項目
最近は決算を見るとき、主に次の順番で整理しています
① 会社予想
企業自身が今期についてどの程度の業績を見込んでいるのか確認します
② 市場コンセンサス
アナリスト側がどこまでの業績を期待しているのか確認します
③ 実際の決算
売上高・営業利益・純利益などの実績を確認します
④ それぞれの差を見る
「実績と会社予想」
だけではなく、
「実績と市場コンセンサス」
の差も確認します
さらに会社が新しい業績予想を発表した場合には、
「新しい会社予想と市場コンセンサス」
も比較します
⑤ 決算発表後の株価反応
最後に、
「実際に市場はその決算をどう評価したのか」
を株価や出来高から確認します
数字だけを見て自分で「良い決算だった」と判断するのではなく、数字と市場の反応をセットで記録することを大切にしています
乖離率も確認する
比較するときは、単純な金額差だけでなく割合も確認しています
たとえば、
市場コンセンサス:100億円
実績:110億円
なら、
(110億円 ÷ 100億円 − 1)×100=+10%
となります
このように割合にすると、規模の違う企業でも「市場予想からどの程度ズレたのか」を比較しやすくなります
僕自身は企業分析をするとき、
- ±5%程度まで:大きな差ではない可能性
- ±10%以上:比較的大きな差として注目
という目安を置くことがあります
ただし、これは市場共通のルールではなく、僕が分析を整理するために使っている目安です
企業の規模や業種、利益の変動幅などによって数字の意味は変わるため、乖離率だけで投資判断をするものではありません
コンセンサスは「正解」ではない
ここも重要です
市場コンセンサスは、あくまでアナリストによる予想を集計したものです
将来の業績を保証する数字ではありません
会社予想も同じで、事業環境や為替、原材料価格、景気などが変われば、その後に修正されることがあります
そのため僕は、
会社予想・コンセンサス・実績のどれか1つを正解として見るのではなく、それぞれの差を見る
という考え方をしています
まとめ
今回のポイントを整理すると、
会社予想
→ 企業自身が示す今後の業績見通し
市場コンセンサス
→ 複数のアナリスト予想を集計した市場期待の目安
決算実績
→ 実際に企業が出した業績
この3つを比較することで、単に
「増収増益だから良い決算」
と見るよりも、一段深く決算を考えられるようになります
特に僕が今後も確認していきたいのは、
会社予想 → 市場コンセンサス → 実績 → それぞれの乖離 → 株価反応
という流れです
企業分析はまだ勉強中ですが、実際の決算を使いながら、この比較を続けていきたいと思います
次回は実際の企業の決算を使って、会社予想と市場コンセンサスをどのように比較できるのかも取り上げたいと思います
参考資料
- 日本取引所グループ(JPX)「決算短信等」
- 日本取引所グループ(JPX)「業績予想の修正、予想値と決算値との差異等」
- QUICK「コンセンサス予想を把握したい」
- FINRA「Stock Investing and Due Diligence」
- FINRA「What Is Earnings Season?」
※本記事は株式投資・企業分析について学んだ内容を整理したものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

